鮫島コラム

海外出張は何が起きるかわからない④

※前回のコラム(第3回:プロフェッショナルの仕事)はこちらをご覧ください。

無事に日本へ連れて帰る

すべてのクレーム処理が終わり、我々はパリ経由で日本へ帰国することになりました。

しかし、最後にもう一つ予想外の出来事がありました。

空港ビルの中にある航空券所持者だけが通過できるフラッパーゲートが開かなかったのです。
どうやら電気的なトラブルのようでした。

周囲を見回しましたが、空港スタッフの姿は見当たりません。
フライトの時間も迫っていました。

どうするべきか、一瞬迷いました。
このまま待つべきか、それとも別の方法を探すべきか。

しかし、状況は刻一刻と悪くなっていきます。
このままではフライトに間に合わないかもしれない。

そう考えた時、私は覚悟を決めました。

そこで私はフラッパーゲートの上によじ登り、スーツケースを向こう側へ運びました。
そしてエンジニアの手を引き、二人でゲートを越えました。

すると、それを見ていた外国人たちが、一斉に同じことを始めました。

今思えば、なかなか大胆なことをしたものです。

帰国便は順調にフライトし、定刻通り成田空港に到着しました。

クレーム処理が終わったこと以上に、
「無事に彼を日本に連れて帰ることができた」という安堵感でいっぱいでした。

後から聞いて分かったのですが、彼は海外出張どころか海外に行くこと自体が初めてだったそうです。

初めての海外がクレーム処理の出張だったのです。極度の緊張状態にあったのでしょう。

成田空港で別れる時、彼は少しはにかんだような笑顔を見せました。
その表情を私は今でも忘れることができません。

この出張を通じて私が学んだことがあります。

海外では何が起きるか本当に予測できません。

だからこそ、海外出張ではスケジュールに十分な余裕を持つことが不可欠なのです。

※本シリーズの第1回(フライト遅延とTGV乗り遅れ)はこちらをご覧ください。