香港トレイル踏破記 – マクリホーストレイル④
― 天空回廊から望む香港 ―
はじめに
マクリホーストレイルトレイルも、いよいよ後半の第5セクションに入りました。
このセクション最大の見どころは、尾根沿いに続く「天空回廊」です。
眼下には九龍の街並みが広がり、その向こうには香港島、そして無数の離島まで見渡すことができます。
「香港は高層ビルの街」というイメージを持つ方も多いでしょう。しかし実際に歩いてみると、香港の約4割が郊野公園として保全されており、世界でも珍しい「都市と大自然が共存する都市」であることを実感します。
今回は、そんな香港を象徴する絶景をご紹介します。
前回コラム
▶ マクリホーストレイル③ ― 山と海が織りなす香港の原風景
前回は、西湾から尾根道を歩き、山と海が織りなす絶景をご紹介しました。
樹林帯の登山道を進む

石畳が整備されたマクリホーストレイル。深い樹林帯の中を進み、天空回廊を目指します。
馬鞍山との分岐点

尾根道を歩いていると、馬鞍山への分岐点が現れます。
実は私は以前、香港出張中に一人で馬鞍山を往復するトレイルランニングをしたことがあります。
その時、この分岐点で地元のトレイルランナーたちに「山頂へのルートはこちらで間違いないですか」と尋ねると、「そうだ。でも最近も滑落事故があったから気をつけろ」と声をかけてくれました。
実際に山頂へ続く稜線は、一歩足を踏み外せば滑落しかねないような険しいルートでした。無事に山頂アタックを終え、この分岐点まで戻ってきたときの安堵感は、今でも鮮明に覚えています。
今回は山頂へは向かわず、天空回廊へ続く左の道を選びました。
天空回廊へ

尾根の向こうに山々が幾重にも連なります。
これまで歩いてきた疲れが、一気に吹き飛ぶような景色でした。
360度の絶景
写真だけではこの雄大なスケールをお伝えできません。
尾根に立って360度見渡すと、山並みの向こうに香港の街、そして海と離島まで見渡すことができます。ぜひ動画でご覧ください。
香港有数のパラグライダーのメッカ
この一帯は香港有数のパラグライダーの名所です。次々と大空へ飛び立つ姿は実に爽快で、思わず足を止めて見入ってしまいました。
尾根でくつろぐハイカー

尾根にはテントを張って休憩しているハイカーもいました。
香港では週末になると、多くの人が郊野公園でキャンプやハイキングを楽しんでいます。
尾根にたたずむお墓

尾根の途中には立派なお墓がありました。
香港では風水を大切にするとともに、海を望む高いところで眠りたいという文化が根付いています。同時に香港特有の極端な土地不足がかけ合わさって、山の斜面にもこのようなお墓をよく見かけます。日本とはまた違った風景です。
レーダー施設が見えてきた

遠くにレーダー施設が見えてきました。
ライオンロックが近づいてきます。
いよいよ香港の街が見えてきた

木々の間から九龍の街並みが姿を現しました。
何時間も自然の中を歩いてきたからこそ、この景色には大きな感動があります。
香港を象徴するライオンロック

香港人の精神的シンボルともいわれるライオンロック(Lion Rock)が見えてきました。
「ライオンロックスピリット」という言葉は、戦後の香港経済を支えた勤勉さや挑戦する精神を象徴する言葉として今でも広く使われていますが、2020年代では「時代ごとに形を変える香港人の団結心」という多層的な意味を含んだ言葉として存在しています。
都市へ近づいていく

巨大な高層マンション群が目前に迫ります。
自然から都市へ、景色が劇的に変化する瞬間です。
ライオンロック郊野公園へ到着

ライオンロック郊野公園へ到着しました。
天空回廊を歩き終え、この日のトレイルもいよいよ終盤です。
下山後は黄大仙へ
トレイルを歩き終えた後は、地下鉄で数駅移動し、香港でも屈指の人気を誇る道教寺院「黄大仙」を訪れました。
観光地としても有名ですが、今でも多くの香港市民が参拝に訪れる信仰の場です。

黄大仙では多くの参拝客でにぎわっていました。
観光地であると同時に、香港市民にとって大切な祈りの場所でもあります。

境内には縁起物やお守りを販売する露店が並び、香港らしい活気にあふれていました。
次回予告
▶ マクリホーストレイル⑤ ― 針山・草山から香港最高峰・大帽山へ
次回は、マクリホーストレイルのセクション6から8を歩きます。
針山(Needle Hill)の急登を越え、草山(Grassy Hill)の広々とした稜線を進み、香港最高峰の大帽山(Tai Mo Shan)を目指します。
次々と現れる厳しい登りと長い距離。香港四大トレイルの中でも、最もタフなコースの一つです。
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▶ マクリホーストレイル① ― 香港最大の水がめ・万宜水庫と西貢半島