香港四大トレイル踏破記
マクリホーストレイル① 香港最大の水がめ・万宜水庫と西貢半島
香港四大トレイルの中で最も有名なのが、全長100kmのマクリホーストレイル(MacLehose Trail)です。
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1979年に開設されたこのトレイルは、香港を代表するロングトレイルとして知られ、多くの香港市民が週末になるとハイキングを楽しみに訪れます。
私は2021年2月、このマクリホーストレイルの踏破に挑戦しました。
第1回は、トレイルの起点となる西貢(サイクン)と、香港最大の貯水池である万宜水庫(High Island Reservoir)をご紹介したいと思います。
マクリホーストレイルの起点へ

マクリホーストレイルの起点。ここから全長100kmの旅が始まる。
マクリホーストレイルは香港新界地区を東西に横断する全長100kmのロングトレイルです。
名前の由来となったマクリホース卿は、1971年から1982年まで香港総督を務めた人物で、香港の発展に大きな足跡を残しました。
トレイルは西貢半島東端の東壩(East Dam)から始まり、屯門(Tuen Mun)まで続きます。
起点には大きな案内板が設置されており、ここから100kmに及ぶ長い旅が始まります。
香港最大の水がめ・万宜水庫

香港最大の貯水池・万宜水庫。1970年代に建設され、香港の発展を支える重要な社会インフラとなった。
トレイルを歩き始めてまず驚かされるのが、万宜水庫の壮大な景観です。
青く輝く水面は一見すると天然の湖のように見えます。
しかし、これは香港最大の人工貯水池です。
香港は雨量こそ豊富ですが、急峻な地形と人口集中により、長年にわたり水不足に悩まされてきました。
特に戦後、中国本土から大量の移民が流入し、工業化と都市化が急速に進む中で、水資源の確保は香港政府にとって最重要課題の一つとなりました。
そこで1970年代に建設されたのが万宜水庫です。
海峡を堰き止めて巨大な貯水池を造るという壮大なプロジェクトであり、香港の経済成長を支える重要なインフラとなりました。
私はこの景色を眺めながら、香港の繁栄は金融や貿易だけでなく、こうした地道な社会インフラ整備によって支えられてきたのだと改めて感じました。
東壩を歩く

万宜水庫の東壩は香港でも屈指の人気観光スポットです。
ダムの上を歩くと、片側には穏やかな貯水池、反対側には南シナ海の荒々しい海が広がります。
人工構造物と雄大な自然が同居する独特の風景です。
周辺は香港ユネスコ世界ジオパークにも指定されており、火山活動によって形成された六角柱状節理など、貴重な地質遺産を見ることができます。
香港というと高層ビル群のイメージが強いかもしれませんが、実際には国土の約4割が郊野公園として保護されており、都市と自然が共存しています。
このギャップこそが香港の大きな魅力だと思います。

貯水池に設置された取水設備。金融都市・香港の繁栄は、こうしたインフラによって支えられている。
野生牛との遭遇

西貢郊外で遭遇した野生牛。世界有数の金融都市のすぐ近くとは思えない光景である。
歩いている途中、道端で休む野生牛の群れに遭遇しました。
香港の郊外では野生化した牛や水牛を見かけることがあります。
人間を警戒する様子もなく、のんびりと日向ぼっこをしている姿は実に牧歌的です。
世界有数の金融都市のすぐ近くで、こうした光景に出会えるのも香港の面白さの一つでしょう。
西貢で味わう海鮮料理

コロナ禍の西貢。マスク姿が当たり前だった一方で、半袖の人とコート姿の人が混在するのも香港らしい風景だった。
ハイキングの締めくくりは西貢の海鮮街です。
西貢は香港有数のシーフードの街として知られています。
港には生け簀船が並び、魚介類をその場で選んで調理してもらうことができます。
この日は青島ビールを片手に、海老や貝類などの海鮮料理を堪能しました。
長時間歩いた後の一杯は格別です。

ハイキングの締めくくりは西貢名物の海鮮料理。歩いた後の一杯は格別だった。
山、海、港町、そして食文化。
香港の魅力が凝縮されたような時間でした。
おわりに
マクリホーストレイル第1回では、西貢半島と万宜水庫をご紹介しました。
香港最大の貯水池は、単なる観光地ではありません。
人口集中と水不足という課題に向き合いながら発展してきた香港の歴史そのものを物語るインフラでもあります。
次回は、マクリホーストレイル最大の見どころとも言われる浪茄湾(Long Ke Wan)や西湾(Sai Wan)を歩きます。
香港屈指の美しい海岸線が待っています。