香港四大トレイル踏破記
マクリホーストレイル② ― エメラルドグリーンの海と秘境の村を歩く ―
前回は、香港四大トレイルのひとつであるマクリホーストレイルのセクション1についてご紹介しました。
今回はその続きとして、セクション2を歩いた時の記録を書いてみたいと思います。
この区間は、香港を代表する絶景ルートとして知られています。
先週に続き、この日も抜けるような青空が広がっていました。
前回のゴール地点である万宜水庫東壩(イーストダム)までタクシーで移動し、そこからセクション2へ入りました。
透き通る青空とエメラルドグリーンの海のコントラストは見事の一言でした。
アップダウンはそれなりにありますが、あまりにも景色が素晴らしく、距離を感じることなく歩き続けることができました。
東壩から浪茄へ

万宜水庫東壩(イーストダム)。マクリホーストレイル セクション2の出発点
万宜水庫東壩は、香港を代表するハイキングスポットの一つです。
週末になると多くのハイカーやトレイルランナーが集まり、マクリホーストレイルの出発点として賑わいます。
巨大なダムと青い海が織りなす景色は圧巻です。
東壩を後にすると、ほどなく浪茄(Long Ke)方面への分岐が現れます。
香港島の香港トレイルとは異なり、この辺りには人工物がほとんどありません。
目の前には山と海だけが広がっています。

浪茄(Long Ke)へ向かう分岐
香港のハワイ

浪茄湾(Long Ke Wan)。「香港のハワイ」「香港のモルディブ」とも呼ばれる。
しばらく歩くと視界が開け、眼下に浪茄湾(Long Ke Wan)が姿を現しました。
エメラルドグリーンの海。
白い砂浜。
背後に連なる山々。
香港というと高層ビルのイメージが強いかもしれませんが、この景色だけを見れば南国のリゾート地そのものです。
浪茄湾は「香港のハワイ」「香港のモルディブ」と呼ばれることもあります。
実際にその景色を目の当たりにすると、その表現も決して大げさではないと感じます。
私は香港に住んでいた頃、何度もこの場所を訪れましたが、訪れるたびにその美しさに見とれてしまいます。
西湾山への登り

浪茄湾を後にして西湾山へ向かう。
浪茄湾を後にすると、西湾山(Sai Wan Shan)への登りが始まります。
標高はそれほど高くありませんが、海岸近くから一気に登るため、思いのほか体力を使います。
しかし、振り返るたびに広がる海の景色が疲れを忘れさせてくれました。
西湾山付近から見渡す景色は、香港四大トレイルの中でも屈指の絶景だと思います。
眼下には浪茄湾。
その先には咸田湾(Ham Tin Wan)。
さらに遠くには大浪湾(Tai Long Wan)。
青い海と山々が幾重にも重なり、まるで一枚の絵画のようでした。

西湾山付近から望む西貢半島の山並み
トレイルでの小さな交流

西湾山付近で出会ったハイカーたち。香港のトレイルには世界中から人々が集まる。
この日、トレイルでは多くのハイカーとすれ違いました。
特に印象に残ったのは、西湾山付近で出会った若い外国人女性二人組です。
彼女たちは軽快な足取りで私たちを追い抜いていきました。
とても元気そうだったので、思わず
「Enjoy!」
と声をかけたところ、
「Thank you. You, too!」
と笑顔で返してくれました。
香港のトレイルでは、国籍や言語を超えてハイカー同士が自然に挨拶を交わします。
こうした温かな交流も、香港のアウトドア文化の魅力の一つだと思います。
秘境の村・赤徑

赤径の村。高層ビルの香港とは別世界のような穏やかな時間が流れる。
山を下ると、咸田湾を経て赤徑(Chek Keng)へ向かいます。
そこには、香港中心部とはまったく異なる時間が流れていました。
古い村屋。
静かな路地。
そして、日向で気持ち良さそうに昼寝をする犬たち。
摩天楼が立ち並ぶ香港のイメージとは対照的な風景です。
しかし、これらの建物の多くは、現在では使われなくなった旧村屋です。
赤徑村は、かつて数百人が暮らしていた集落でしたが、都市化の進展とともに住民の多くが市街地へ移住し、現在は無人化が進んでいます。
その結果、多くの建物が廃屋となり、静かに時を刻んでいます。
香港というと超高層ビルや金融都市のイメージが強いですが、その一方で、このように人々の暮らしの記憶を残した村落も存在しています。
マクリホーストレイルを歩くと、香港のもう一つの歴史に触れることができます。

赤徑村に残る旧村屋。かつて数百人が暮らした集落の面影を今に伝えている。
おわりに
この日のウォーキング距離は約16km。
アップダウンもあり、決して楽なコースではありませんでした。
それでも、山と海が織りなす絶景に囲まれながら歩く時間は格別でした。
香港は「世界都市」であると同時に、「世界有数のハイキング都市」でもあります。
都市と自然がこれほど近い距離で共存している場所は、世界的に見ても決して多くありません。
次回は、マクリホーストレイルのセクション3へ進みます。
さらに奥深い西貢(サイクン)の自然と、香港の知られざる魅力をご紹介したいと思います。
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